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長崎地方裁判所 昭和55年(わ)205号 判決 1981年1月16日

裁判所書記官

末永誠一

本店所在地

長崎県佐世保市光町一〇九番地

法人の名称

株式会社 堀内組

代表者の住所

長崎県北松浦郡佐々町小浦免一一三五番地の二九

代表者の氏名

山下秀男

本籍及び住居

長崎県北松浦郡佐々町小浦免一一三五番地の二九

株式会社堀内組取締役

山下磐

昭和一五年五月二七日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官宮成正典、弁護人山田正彦各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社堀内組を罰金一、〇〇〇万円に、被告人山下磐を懲役八月に、それぞれ処する。

被告人山下磐に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告会社株式会社堀内組及び被告人山下磐の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社堀内組は、長崎県佐世保市光町一〇九番地に本店を置き、土木建築、舗装工事請負業等の事業を営むもの、被告人山下磐は、被告会社の経理担当取締役として被告会社の経理業務全般を統轄していたものであるが、被告人山下磐は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五一年六月一日から昭和五二年五月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は一億〇、一八二万八、六一四円であり、これに対する法人税額は三、五〇三万三、九七〇円であったにもかかわらず、公表経理上架空の材料費や工事運搬費を計上するなどの不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五二年七月三〇日、長崎県佐世保市木場田町二番一九号所在の佐世保税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度における被告会社の所得金額は六、三七四万八、四五九円であり、これに対する法人税額は一、九八五万一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正当な法人税額三、五〇三万三、九七〇円との差額一、五一八万二、七七〇円を免れ、

第二  昭和五二年六月一日から昭和五三年五月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は一億三、三二四万四、四四九円であり、これに対する法人税額は四、八三四万四、五〇〇円であったにもかかわらず、前記同様の不正の行為により所得を秘匿したうえ、昭和五三年七月三一日、前記佐世保税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度における被告会社の所得金額は七、一四九万四、八六三円であり、これに対する法人税額は一、九九六万六、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正当な法人税額四、八三四万四、五〇〇円との差額二、八三七万七、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、山下三千男、山下伸次郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書

一、青木勇の大蔵事務官に対する各質問てん末書(五通)及び検察官に対する各供述調書(六通)

一、坂本勝、吉島清(証明証添付)、古賀徹及び但馬隆の検察官に対する各供述調書

一、国税査察官作成の「株式会社堀内組法人税法違反けん疑事件脱税額計算書同説明資料」と題する書面二通

一、川中逸磨、今里利春(証明書添付)、吉永頴文、山下晃、但馬隆(三通)、田島純雄、田島美治、山田茂一、富永武久、白川二夫、白川義晴、白川重之、豊田慶姻、小倉悦子、松尾恵美子、村上基一郎、清田真一、田中悦子及び北村誠吾の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、鶴久美子、吉永頴文、山下晃、出端貴子、篠田澄子(二通)、山口靖子(二通)、津上保、久田千鶴子、小浜千束、沢野順子、中島友次、中村正光、梅田美智子、藤原密治、北原保彦及び藤瀬美佐男各作成の「上申書」と題する各書面

一、正司尚道、渋谷学、北村孝(証48号)、江島九良夫、山本富士枝、吉永由朗、山藤勝義、井口正男、寺山武男、山口泰介及び大曲浩暢各作成の「証明書」と題する各書面

一、井手昭男、北原重人、山口喜八郎、蓮子英雄、峯耕治各作成の「確認書」と題する各書面

一、但馬隆作成の「確認書」、「証明書」及び「申述書」と題する各書面

一、佐世保税務署長作成の捜査関係事項照会回答書

一、大蔵事務官作成の「査察官調査書」と題する書面五通(証86、89、91、98、99号)

一、押収してある伝票一九冊(昭和五五年押第四九号の1ないし19)、仮払貸付預り金帳一綴(前同号の20)、仕入帳六冊(前同号の21ないし26)、固定資産台帳一綴(前同号の27)、請求書、領収書綴一六綴(前同号の28ないし43)、手形受払帳一冊(前同号の44)、確定申告書二綴(前同号の45、46)、小手帳一冊(前同号の47)及び日記四冊(前同号の48ないし51)

一、被告会社代表者山下秀男及び被告人山下磐の当公判廷における各供述

一、被告人山下磐の大蔵事務官に対する各質問てん末書(八通)及び検察官に対する各供述調書(三通)

一、被告会社代表者山下秀男の大蔵事務官に対する各質問てん末書(三通)及び検察官に対する供述調書

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の「査察官調査書」と題する書面五通(証93、95、97、100、101号)

判事第二の事実につき

一、坂本勝の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、大蔵事務官作成の「査察官調査書」と題する書面八通(証87、88、90、92、94、96、102、103号)

(法令の適用)

被告会社の判示各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告会社を罰金一、〇〇〇万円に処することとし、被告人山下磐の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯罪の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人山下磐を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告会所及び被告人山下磐の両名に連帯して負担させることとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 山口毅彦)

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